【店舗サブリースの利回りは平均どれくらい?】計算式・相場目安・収益を上げるコツ
「店舗サブリースを検討しているけれど、実際にどれくらい儲かるの?」 「自分で貸すのと比べて、利回りはどう変わる?」
店舗活用を考える際、やはり一番気になるのは「利回り(投資対効果)」ですよね。 サブリースは「手数料がかかる分、実入りが減る」と思われがちですが、空室リスクを排除できるため、長い目で見ると「実質利回りが安定する」という特徴があります。
この記事では、店舗サブリースの利回りの正しい計算方法から、立地別の相場目安、そして少しでも手取りを増やすためのポイントまでを、実務レベルで分かりやすく解説します。
目次
店舗サブリースの利回りとは?まずは結論から
まず、一般的な傾向としての結論です。 店舗サブリースの利回り(表面利回り)は、オーナー様が直接テナントに貸す場合と比べて、10〜20%ほど低くなる(または手数料分が引かれる)のが一般的です。
これは、サブリース会社(転貸人)の運営手数料やリスクヘッジ費用が含まれるためです。しかし、その分以下のようなメリットが数字に反映されます。
| 運営方式 | 利回りへの影響 | 特徴 |
| 固定賃料(家賃保証)型 | 安定(低~中) | 空室でも家賃が入るため、長期のキャッシュフローが読みやすい。 |
| 実績連動(収益分配)型 | 変動(中~高) | 売上が良ければ直貸し以上の利回りを叩き出せるが、立地に左右される。 |
| 駐車場併設型 | 向上 | 土地全体の収益性が高まり、総合的な利回りがアップする。 |
つまり、「瞬間的な最大風速(最高利回り)」は下がりますが、「ならしてみた時の平均利回り(実質利回り)」は安定しやすいのが特徴です。
「利回り」の計算方法
不動産サイトなどで見る「利回り」と、実際に手元に残るお金には違いがあります。ご自身の物件で計算してみましょう。
基本の計算式(表面利回り)
利回り(%) = ( 年間の家賃収入 ÷ 投資総額 ) × 100
店舗サブリースの場合の当てはめ方
① 「年間の家賃収入」とは?
- 固定賃料型の場合: サブリース会社から振り込まれる金額 × 12ヶ月
- 実績連動型の場合: (テナントからの家賃 - サブリース手数料) × 12ヶ月
② 「投資総額」には何を含める? ここが重要です。単に物件価格だけでなく、開業にかかった全ての費用を足してください。
- 土地・建物の購入費(または建築費)
- リフォーム・改装費(店舗用に改装する場合)
- 設備導入費(空調、厨房機器など)
- 外構工事費(駐車場舗装、看板設置など)
※すでに土地建物をお持ちのオーナー様が「改装費だけでどれくらい回収できるか」を知りたい場合は、分母を「改装費のみ」にして計算することもあります(これをROIと言います)。
【立地・業態別】利回りの相場目安
では、実際にどれくらいの利回りがあれば「合格ライン」なのでしょうか? 土地建物の価格を含めた、一般的な実質利回りの目安(感覚値)は以下の通りです。
| 立地・条件 | おすすめ方式 | 利回りの目安(年) | 解説 |
| 駅前・繁華街 | 収益分配型 | 5.0% ~ 8.0% | テナント需要が強いため、売上連動型で高い利回りを狙えます。好条件なら10%超えも。 |
| 郊外ロードサイド | 固定賃料型 | 4.0% ~ 6.0% | 爆発力より「安定」重視。コンビニやチェーン店が入れば、手堅い運用が可能です。 |
| 住宅地・地域密着 | 固定賃料型 | 3.5% ~ 5.5% | 賃料単価は低めですが、長く続くテナント(クリニックや美容室)が入れば安定します。 |
| 駐車場併設 | 固定/分配 | 6.0% ~ 10.0% | 「店舗賃料+駐車場料金」のダブル収入になるため、土地全体の利回りが大きく向上します。 |
※上記はあくまで目安です。物件の築年数やエリアによって大きく変動します。
実際の収支シミュレーション(モデルケース)
具体的な数字でイメージしてみましょう。 ※ここでは土地建物はすでに所有しており、「店舗への改装費」に対してどれくらいで回収できるか(投資対効果)を計算してみます。
✅ ケースA:郊外ロードサイド(固定賃料型)
「安定して長く貸したい」パターン
- 初期投資(改装費など): 500万円
- サブリース賃料(手取り): 月額 18万円
- 年間収益: 216万円
利回り(回収率) = 216万円 ÷ 500万円 × 100 = 43.2% → 約2年半で改装費を回収し、その後は利益になります。
✅ ケースB:駅前好立地(収益分配型)
「リスクをとって高収益を狙う」パターン
- 初期投資(スケルトン渡し): 200万円(内装はテナント持ち)
- テナント賃料(総額): 月額 30万円
- 手数料(20%): 6万円
- オーナー手取り: 月額 24万円
- 年間収益: 288万円
利回り(回収率) = 288万円 ÷ 200万円 × 100 = 144% → 1年未満で初期費用を回収できる計算です。 ※ただし、テナント退去時のリスクや、次のテナントが決まるまでの空白期間のリスクもオーナーが一部負う契約が多くなります。
店舗サブリースで利回りを高める「5つの条件」
「相場より高い利回りで運用したい!」という場合、以下のポイントを押さえているかが勝負の分かれ目になります。
① 「駐車場」で収益を底上げする
郊外店舗の場合、駐車場の有無は死活問題です。店舗用の駐車場を確保するだけでなく、余ったスペースをコインパーキングや月極駐車場としてサブリースすれば、プラスアルファの収益が生まれ、全体の利回りが跳ね上がります。
② 設備は「長持ち」させて修繕費を削る
利回りを下げる最大の要因は「突発的な修繕費」です。 最初にケチって古いエアコンや給湯器を残すと、後で修理代がかさみ、結果的に利益が減ります。「壊れにくい状態(あるいは新品)」で引き渡す、もしくは「内装設備はテナント持ち(スケルトン)」にする契約が有効です。
③ 立地に合った「契約方式」を選ぶ
- 一等地なら「分配型」: 上振れ期待。
- 郊外なら「固定型」: 空室リスク回避。 この選択を間違えないことが、最大収益への近道です。
④ 「短期利用」も視野に入れる
長期契約だけでなく、イベントスペースやポップアップストアとしての「短期・時間貸し」も許容するサブリース会社を選ぶと、空き時間の収益化が可能になり、稼働率(=利回り)がアップします。
⑤ トラブルのない運営体制
「近隣クレームで営業時間が短縮された」「行政指導で改修が必要になった」。こうしたトラブルは収益を直撃します。 コンプライアンス(法令順守)に強い管理会社を選び、トラブルゼロで長く入居してもらうことが、結果として高利回りを維持する秘訣です。
まとめ:利回り計算は「投資範囲」を決めてから
店舗サブリースの利回りは、一般的に表面利回りで4%〜8%程度を目指すのが現実的なラインです。
- 初期投資(改装費)をどこまでかけるか?
- 固定賃料で「安心」を取るか、分配型で「利益」を取るか?
この2点のバランスで、最終的な手残りは大きく変わります。 「高い利回り」という言葉だけに飛びつかず、ご自身の物件が「駅前型」なのか「郊外型」なのかを見極め、最適なプランを選ぶことが成功への第一歩です。
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