「テナントが退去した後、なかなか次の入居が決まらない」 「本業が忙しくて、店舗の管理やクレーム対応まで手が回らない」

店舗物件をお持ちのオーナー様にとって、空室期間の長期化や管理の手間は大きな悩みですよね。 そこで今、有力な選択肢として注目されているのが「店舗サブリース」です。

「サブリースってアパート経営の話でしょ？」と思われがちですが、実は店舗物件でも導入が進んでおり、「空き店舗リスクの軽減」「安定収益」「運営の効率化」に非常に効果的です。

この記事では、店舗サブリースの仕組みから、オーナー様・テナント様それぞれのメリット、そして導入前に知っておくべき注意点までを丁寧に解説します。

そもそも「店舗サブリース」ってどんな仕組み？

まず基本的な仕組みを確認しましょう。 店舗サブリースとは、オーナー様（貸主）が店舗物件をサブリース会社に一丸ごと貸し出し、その会社が実際の入居者（テナント）に**転貸（また貸し）**する仕組みのことです。

契約の構造は以下のようになります。

【契約の流れ】 オーナー様 ➡（一括借上げ契約）➡ サブリース会社 ➡（転貸借契約）➡ テナント（入居者）

前回解説した「無断転貸」はトラブルの元ですが、サブリースはプロの会社が間に入る**「合法的で、管理効率を高めるための転貸モデル」**です。 オーナー様はサブリース会社と契約を結ぶだけなので、実際の店舗運営者（テナント）と直接やり取りする必要がなくなります。

【オーナー様のメリット】手間を減らして収益を安定させる

ここが一番のポイントです。なぜ多くのオーナー様がサブリースを選ぶのでしょうか？ 大きく3つのメリットがあります。

✅ メリット1：空き店舗リスクを軽減できる

これが最大の魅力です。 通常の賃貸契約では、テナントが入っていない期間の家賃収入は「ゼロ」になります。 しかし、サブリース契約（特に賃料保証型）の場合、空室期間があってもサブリース会社から毎月一定の賃料が支払われる契約が多くあります。 「次のテナントが決まるまでの不安」から解放されるのは大きな精神的メリットです。

✅ メリット2：収益の見通しが立ちやすい

テナントの入れ替わりがあっても、オーナー様に入ってくる賃料は一定（固定）であることが一般的です。 毎月の収入額が確定するため、ローンの返済計画や、他の事業（駐車場経営や土地活用など）との資金繰り計画が立てやすくなります。

✅ メリット3：面倒な管理業務を「丸投げ」できる

店舗経営には、想像以上に細かい業務が発生します。

• テナントの募集・審査
• 契約手続き・更新業務
• 入居中のクレーム対応・設備トラブル
• 退去時の原状回復の確認

サブリースなら、これらの面倒な業務はすべてサブリース会社が行います。 オーナー様は「毎月の入金確認」と「定期報告のチェック」程度で済むため、本業が忙しい方や、遠方にお住まいの方に最適です。

【借り手のメリット】実はテナント側にも利点がある

「間に業者が入ると、借りる側（テナント）は損をするのでは？」と思われがちですが、実は借り手にとってもメリットがあり、それが結果として**「入居者が決まりやすい」**という好循環を生みます。

✅ 入居・開業のハードルが下がる

オーナー様と直接契約する場合、高額な「保証金（敷金）」が必要になるケースが一般的です。 しかし、サブリース物件の場合、サブリース会社独自プランにより**「初期費用を抑えられる」**ケースがあります。

✅ スピーディーな契約が可能

プロの業者が間に入るため、審査や契約手続きがスムーズです。 また、「期間限定で出店したい（ポップアップストアなど）」といった柔軟な使い方ができる物件もあり、「まずは低コストで開業したい」という飲食店や小売店のニーズにマッチしやすくなります。

デメリットも確認（知っておくべき注意点）

良いことばかりではありません。後悔しないために、デメリットもしっかり把握しておきましょう。

⚠ 注意点1：手取りの賃料は少し下がる

サブリース会社は、転貸による差額や手数料で利益を得ます。 そのため、オーナー様の手元に入る賃料は、相場（直接貸した場合）の80〜90％程度になることが一般的です。 「満額の家賃」よりも「安心と手間の削減」を取るかどうかの判断になります。

⚠ 注意点2：入居者を自分で選べない

「どんなテナントが入るか」の決定権は、基本的にサブリース会社が持ちます。 「おしゃれなカフェに入ってほしかったのに、チェーンの居酒屋になった」といったように、こだわりが強い場合は希望通りにならないこともあります。

⚠ 注意点3：将来的な「賃料減額」の可能性

「30年間家賃が変わらない」わけではありません。 経済情勢や周辺相場の変化により、数年ごとに賃料の見直し（減額交渉）が行われる可能性があることは、契約前に必ず理解しておく必要があります。

店舗サブリースはこんな人におすすめ

メリット・デメリットを踏まえると、以下のような方に特におすすめです。

👤 オーナー様の場合

• 「少し家賃が下がってもいいから、空室の不安をなくしたい」
• 「本業が忙しいので、クレーム対応や管理業務はプロに任せたい」
• 「遠方に住んでいて、頻繁に物件を見に行けない」

👤 テナント様（借りる側）の場合

• 「開業資金（初期費用）をなるべく抑えたい」
• 「面倒な交渉なしで、スムーズにお店を借りたい」

まとめ：サブリースは「安心」と「時間」を買う選択肢

店舗サブリースの特徴を一言で言えば、 「収益を少し手数料として支払う代わりに、空室リスクと管理の手間をゼロにする」 というサービスです。

• 空き店舗のリスクを避けたい
• 毎月の収支を安定させたい
• 面倒な管理から解放されたい

これらを重視するオーナー様にとって、サブリースは非常に合理的な選択肢と言えるでしょう。 もちろん、契約内容（保証される金額や期間、解約条件など）は会社によって異なります。導入を検討する際は、複数の会社の話を聞き、条件をしっかり比較することから始めてみてください。